本家八ッ橋西尾株式会社 代表取締役 西尾 為和
創業は江戸時代・元禄年間という本家西尾八ッ橋。米粉から作られた素朴な「白餅」に始まり、1689(元禄2)年には現在の八ッ橋の原型となる橋の形をしたおせんべいが誕生したと伝わります。明治時代から昭和初期にかけてはさまざまな世界の博覧会に出品したことで海外でも評価され、国内でも誰もが知る京銘菓になりました。代々継承してきた伝統の風味は守りながら、時代ごとの味覚とニーズにあった多彩なアレンジで、進化を続ける本家西尾八ッ橋の15代目・西尾為和さんにお話をうかがいました。
新たな嵐山の魅力を発信するという思いに共感
京都市内の観光地では“西の横綱”ともいえる嵐山ですが、一時期はタレントショップが立ち並び、風光明媚な嵐山本来の魅力とは違うイメージが定着してしまっていました。当社も、嵐山エリアには長らく店舗を構えていなかったのですが、「老舗は楽しい」というコンセプトのもと、嵐山がもつ本来の魅力を取り戻し、新たに発信しようというお誘いに共感。これまで機会のなかった嵐山に拠点を構える好機だと思いました。
嵐山昇龍苑は、お漬物からスイーツ、工芸品まで一箇所で幅広いジャンルのものを楽しめるのがユニークですね。
現場のアイデアがユニークなメニューの源
嵐山店では、昔ながらのシンプルな「八ッ橋」、季節限定フレーバーの種類が豊富な生八ッ橋「あんなま」が根強い人気。加えて嵐山店では、テイクアウトコーナーでは、米粉を使ったクレープやソフトクリームなどをお楽しみいただけます。
ただ、近年は商品のライフサイクルが短くなっていて、何がいつ、どのようなきっかけで話題となるか分かりません。それなら「どんどんおもろいことをやってみよう!」と。幅広い層のお客様が訪れる嵐山で、お客様を一番よく知る現場スタッフのアイデアを商品やメニューに生かしています。
オリジナルレシピで八ッ橋の新たな魅力を発信
嵐山店の店長が考案した「あんなま」のアレンジレシピ「あんバター」もその一つ。限定商品として、店内でお召し上がりいただけます。看板商品の一つである「あんなま」に焦げ目をつけて、たっぷりのバターオイルで香ばしい風味をつけたもの。
また、「あんなま」を使って、おうちでできるアレンジレシピ「八ッ橋トースト」も紹介しています。トースターで焼いた食パンにバターを塗り、「あんなま」を乗せてさらにトースト。焦げ目をつけてさらにバターをひとかけのせれば完成です。お好みの「あんなま」を選び、オリジナルのトーストを楽しんでいただき、八ッ橋の新たな魅力を発見していただきたいですね。
「あんなま」5個・税込250円、「あんバター」税込170円
旅をより良いものにするおもてなしを
当店の商品は、オンラインでも駅のおみやげもの店でも手に入りますが、やはり実際に嵐山に足を運んで、イートインスペースでくつろいだり試食しながらおみやげを選んだりという体験が、旅の思い出として残ると思います。そうした体験がより良いものになるようなおもてなしを、これからも続けていきたいですね。
娘が数え年で13歳になったとき、「十三まいり」のために法輪寺さんに参詣しました。その帰路で、人力車に乗り、渡月橋から嵐山の観光スポットを娘と一緒に巡ったのが良い思い出です。