株式会社豆政代表取締役社長 角田 潤哉
豆政は明治17(1884)年に創業した老舗の豆菓子店。砂糖掛のえんどう豆に、4色の味を加えた創業時からの銘菓「夷川五色豆」や、きな粉本来の味わいを楽しめる「すはまだんご」など、伝統的なお菓子を作り続ける一方、「イタリアンピーナッツ」や「わさびピーナッツ」「クリーム五色豆」など、和洋を問わない新しい味の豆菓子も開発。伝統を守りながら時代と共に歩む五代目当主の角田潤哉さんに、昇龍苑店ならではの魅力を伺いました。
昇龍苑を嵐山散策の起点と終点に活用して欲しい
私たち京都にいる者にとって、嵐山は観光のお客さんが集まる場所という特別なイメージです。前々から機会があればお店を出せたらと思っていたところ、お声がけをいただいて。駅前で年配の方から修学旅行生までさまざまな方がお越しになるこの場所なら、きっと楽しい商売ができると思って出店させていただきました。
嵐山はお寺さんや竹林など京都らしい良い場所がいっぱいあるんですが、意外と自由に休憩できるところが少ないんです。昇龍苑は緑があって、椅子もたくさん置いてあり、老舗の味やお土産選びをゆっくり楽しめる。嵐山の真ん中でこんなにくつろげる場所は他にないと思います。休憩に来ていただくだけでも全然構いませんので、散策の起点と終点に使ってもらえたら嬉しいですね。
豆菓子の専門店ならではの味を気軽に楽しめるテイクアウト商品
そういった場所ですので、ご進物やお歳暮などもお求めいただく本店やデパートの店舗とは違い、昇龍苑店はカジュアルに楽しんでいただける商品や工夫を取り入れました。
例えば、豆菓子の量り売りもその一つです。本店はじめ他の店舗でも量り売りはありますが、こちらはカップにご自身で好きな味を入れていただくスタイル。お子さんは甘いお味を好まれることが多いので、下段に甘いもの、上段におつまみ系の辛い味を並べています。
また、うちは豆の専門店なんで、きな粉には強いこだわりを持っています。極限まで細かく挽いているので、お菓子に使ってもとろけるようになめらかで、砂糖に負けない力強い大豆の香ばしさがある。その味わいをぜひ知っていただくて、昇龍苑店では店舗限定のテイクアウト商品も作りました。夏限定の「黒蜜きな粉抹茶氷」は、和三盆を使った上品な黒蜜ときな粉の相性が絶妙ですし、杵つきの各種焼き団子には、お好きなだけきな粉をかけていただけます。召し上がっていただけたら、きっと “豆政らしさ”を感じていただけると思います。
お土産に最適な「京のまちかど」はパッケージにも秘密あり
「京のまちかど」シリーズは、おすすめの豆菓子を京都らしい絵柄のパッケージに入れた、お土産にぴったりの商品です。甘いものから辛いもの、それらをミックスしたものなど、店頭には常時10数種類以上を取り揃えています。中でも、醤油や海苔、海老などバラエティー豊かな豆菓子に、ピリ辛のあられや昆布なども交えた「うたげ」は、嵐山の名所柄なので、嵐山土産には最適!実はこちらのパッケージ、CDケース入れにぴったりなサイズなのですが、近年はハサミで切り開いてもらって、ブックカバーとしても活用していただいているそうです。先ほどご紹介した「うたげ」もそうですが、中には季節によって絵柄を変えているものもあるので、集めていただいても面白いかもしれません。
「京のまちかど」シリーズ 左から順に「夷川五色豆」「うたげ」「七味道楽」各税込430円
きな粉に自信があるからことおすすめしたい「すはまだんご」
「すはま」は、古くは「豆飴」と呼ばれたという、江戸時代からの古典菓子です。本来は羊羹のような竿物のお菓子で、切ると断面が浜辺の組んだ場所「州浜」の形をしているのですが、豆政では食べやすく小ぶりな三色団子型にしました。材料は大豆(きな粉)、水飴、砂糖の3種類。これらを混ぜて練り上げるという、シンプルな作り方ゆえに素材の良し悪しが如実にわかるお菓子です。きな粉の香ばしさとまったりとした舌ざわりが楽しめる商品で、意外にも若い方からも人気を集めています。素朴な甘さはお茶はもちろん、コーヒーにもよく合いますので、ぜひ一度お試しください。
「すはまだんご」14本入・税込594円(5本入・税込270円、12本入・490円もあり)
大堰川周辺の散策はやっぱりいいですね。渡月橋から北に上がっていくと、おでん屋さんがあるんですが、夕方くらいにそこでおでんをいただきながら、船を眺めつつぼーっとした時間を過ごすのが好きですね。
あと、景色で言ったら広沢池とか大沢池周辺。昇龍苑からはちょっと距離があるんですけど、大覚寺から見る大沢池の景色は綺麗ですよ。うちに「月しろ」という小豆を琥珀寒天で包んだお菓子があるんですが、それはまさに大沢池から出た月をイメージして作ったもんなんです。